since 2005年8月12日
インスタントコーヒーの瓶に伸ばしかけていた手を、ちょっと考えてから引っ込める。 リビングの方を振り返れば、さっきから欠伸をかみ殺しては、赤い目をしばたかさせている同居人。 目に留めてから、再び食器棚に手を伸ばす。 「ねえ、」 呼べる名前が無い背中に、声をかける。 「ココア淹れたんだけど。飲んだら?」 「……飲む」 ゆっくりと振り返って、それから。 それから―