5.退屈なテレビ

平日の昼間って、あんまり面白い番組もやってなくて。
限りなく音量を抑えたテレビで何の興味も無い内容をただ眺めているのにも飽きた。
ゲームでもして時間を潰そうかとも思ったけど、体調の悪い時ってちょっとした音でも
耳についてイライラするんだって身をもって知ってるから、今日に限りゲームは自粛中。
リモコンで適当にテレビのチャンネルを次々と変えて、はぁ、と溜息。

なんか久保ちゃんじゃないけど、すげーかったるい。

こーいうの、気疲れっていうんだっけ。
前に久保ちゃんが「おまえは感受性が高いからね」とか言ってたけど、よく分かんね。
そんな事を思い出しながら気の向くままソファーに横になって、いつの間にか眠ってた。


たぶん、物音で目が覚めたんだと思う。
一瞬、何でこんな所で寝てんだっけ?とか思ったけど、キッチンに立ってる久保ちゃんと、自分で掛けた覚えのないタオルケットに、ボンヤリと今の状況を思い出した。

「久保ちゃん、もう大丈夫なのか?」
「うん、寝てたら良くなったみたい」
「そっか。よかったじゃん」
「時任こそ、そんな所で寝てて風邪引かないでよ?」
「俺は久保ちゃんとは違うもん」

すっかりいつもと変わんない調子で笑う久保ちゃんに、本当はもうちょっとだけ面倒を見てやっても良かったかな、って思った。