4.一人ぼっち

久保ちゃんが今朝から、どっか本調子じゃなそうで。
ちょっと気にして見てたら、それが熱のせいだって気が付いた。
足が覚束ないほどの高熱が出てるっていうのに、当の本人が自覚して無いんだから質が悪い。
言ったら具合が悪くなるかなってちょっと躊躇ったけど、結局これ以上悪くなられるよりはマシだと思って、早退させて。
なんか一人で帰らせるのも危なっかしくて、俺も一緒に早退した。

家に着くなり寝室に直行した久保ちゃんの為にポカリ買いに行って、お粥も作って。
着替えろっつったのに着替えてねーから、それも手伝って。
あとは寝るのが一番だろうから、何かあったら呼べとだけ言って寝室を出た。
そしたら、もう自分に今やれる事は無くなって。
久保ちゃん居るのに一人ぼっちみたいだって思ったら、急に今いるリビングが寒々しく感じて。

べつに、寂しいとか思ってんじゃねーからなっ。

誰に向けるでも無く心の中で呟いて、久保ちゃんにメール。
送信ボタンを押した所で、聞こえてきたのは聴きなれた着信音。

「ほんっと、世話の焼けるヤツ」

放置してあった鞄の中から、飾りっ気のないケータイを拾い上げた。