3.お見舞いメール

時任が寝室を出て行き際に、「何かあったら呼べよ」って言ってくれたのは良いんだけど。
よく考えたら、ケータイが手元に無いから呼びたくても呼べない。
ケータイは鞄の中に入れっぱなし。
鞄は帰りに時任が持ってくれてたから、あるのは多分リビング。

取りに行くの、ダルいんだけどな……

関節痛くて動くのはかったるいし、声を出すのも億劫だし。
別に今すぐ何か用がある訳でも無いし、と諦めて寝付こうかと思ったその時。

「久保ちゃん、ケータイ。こっちに無いと不便だろ?」
「ありがと……よく分かったね」

図ったようなタイミングに、ちょっとびっくり。
時任はケータイを手渡すと、用は済んだとばかりにすぐにリビングに引き返した。
受け取ったケータイは新着メールの存在を知らせていて。

『おだいじに』

たった5文字の、短い一言。
ほんの少しだけ、風邪とは違う熱が上がった気がした。