2.白い粥に赤い梅干し

時任に言われて熱がある事を自覚した途端、急に具合が悪くなった。
それでも何とかマンションまで帰って、寝室に直行。
時任が「寝るなら着替えろよ」なんて言ってたけど、此処まで帰って来るのもやっとだった俺に、そこまでする余力は無い。
倒れこむようにベッドに横になって、目を閉じる。

「あーあ、久保ちゃん。着替えろって言ったのに」

どの位の時間が経ったのか。
うとうとしてる内に本格的に眠っていたのか、時任に起こされて手渡されたポカリを促されるまま飲みほす。
それから。

「お粥?」
「そ。風邪引いた時の定番だろ?」

一緒に持ってきたトレーに乗せられた、白いお粥と赤い梅干し。

「塩分と水分摂って、大人しく寝とけ」

起きたついでに着替え、って言いながら手際よく寝支度も手伝ってくれちゃったり。

「治るの、勿体ないよね……」
「何か言ったか?」

ま、甘やかしてはくれないみたいだけどね?