since 2005年8月12日
ふわふわ、ゆらゆら。
いつも歩いてる、固いはずのリノリウムの床が、今日はやけに柔らかい。
纏わりつく空気も、何だか重さを持ってるみたいで。
プールとか、水の中を歩く時ってこんな感じじゃない?
―なんだっけ、この感覚。
「久保ちゃん」
聞き馴れた声に振り返った瞬間、何でだか平衡感覚が狂って目が眩む。
「……なーに?」
「帰んぞ。お前、熱あんの気付いてねーだろ」
「熱……ああ、熱ね」
思い出した。
そう、熱が出るとこんな感じだった。
でも出来れば、気付かせて欲しくなかった、かな。