disharmony

「いてっ!」
「どーした?」

男の割には華奢な時任の手が。
傷ついた所でその外観を損なう、なんて事はないんだけど。

「紙で指切っちまった」
「あ、血が出てる。結構、深く切っちゃったみたいだねぇ……消毒する?」

むしろ白い指先に紅い血が映えてキレイ、なんて言ったら殴られるよね、やっぱ。

「舐めときゃ平気だろ?」
「絆創膏ぐらい貼りなさいって。その棚のどっかに救急箱あるから」
「んなもん、この部屋に……あ、あった。久保ちゃん、貼って」
「はいはい。こっちおいで?」

でもねぇ、いくら書類とはいえ、時任を傷つけるものは許せないワケ。
あーもう、焼き払っちゃっていいかな。ライターもあるし?

「あーあ。書き直しか?面倒くせー」
「いいんでない?そんな目立たないし」

なんてね。そんな事したら、余計な仕事が増えるだけだし。
桂木ちゃんの血圧を上げちゃうのも、忍びないし。

「だな。よし、帰るぞ久保ちゃん!」
「帰りますか」

なによりも大事な時任クンと過ごす時間を無駄にするなんて、そんな勿体ないこと俺がするワケないっしょ?