03

つまらないから、とテレビが消されたままの部屋。
些細な音でもよく響く。

「だから時任、噛んじゃ駄目だって」
「あ、わり。無意識」

ばつが悪いのか、開き直ったのか。
カリカリと小気味の良い音をたてながら、時任がトローチを噛み砕く。

「あー、まず」
「だったら早く治しなさいよ、風邪」