雨垂れ

冷たい指先を暖めたくて触れた其の唇は思いの外柔らかくて熱かった。
その熱をもっと感じたくて、自分の其れをそっと重ねた。
感じたのはやっぱり温かい熱と、その唇よりも熱い吐息。

「久保ちゃん……」

という溶け込むような声。
柔らかい雨が窓を伝い落ちる音。
冷たいままの指先はそっと君の指に絡められた。