since 2005年8月12日
ジーパンのポケットで鳴り響いたケータイに、ビクっと足が止まる。
震える手で取り出すと、表示されてる名前は『久保ちゃん』
目にした瞬間、息が、詰まる。
指先が凍りついたように動かない。
その内に伝言サービスに切り替わり、ケータイが鳴り止んだ。
知らない間にずっと詰めてた息を吐き出してから、一呼吸。
大丈夫、大丈夫。
言い聞かせて、リダイヤル。
「あ、久保ちゃん?―うん、出ようとしたんだけど、間に合わなくてさ」
努めて明るい声を出す。
キリキリと痛む胃を誤魔化しながら。