since 2005年8月12日
「ぜってー久保ちゃんのせいだ」
「だから、ごめんって言ってるじゃない」
咳き込みすぎて潤んだ目で睨まれる。
そんな風に睨んでもカワイイだけだ、って気が付いてないでしょ?
「久保ちゃんが煙草を吸わなきゃ、ここまで酷くなんねーだろ」
だから、悪かったって。
「これ、あげるから許してくれない?」
おいで、と手招きして。
煙草の代わりに口に入れていた飴を時任の口に移す。
「サンキュ……って、やっぱり煙草吸うのかよ!?」
「だって、飴は時任に取られちゃったし。口寂しいんだもん」
「ほかの飴は?」
「今のが最後の一つ」
「久保ちゃん」
「ん?」
取り上げられた煙草。
代わりに押しつけられた柔らかい口唇。
口の中にはさっきよりも小さくなった、のどあめ。
「半分返す」
「ありがと」